鈴木さんちの球日記

撞球愚痴日記。2006年から書き続けているので、昔と今とでは持論が変わっていることが多いです。1プレイヤーの成長記として、生暖かい目で見守ってください。

体感しなけりゃ凄さは分からない

 

母が全くのド素人、私が中級者程度の知識は持っているとあるジャンルの話をしていた時に、母がやたらと歯向かってきたことがありましたw

 

中級者の私からしたら「明らかに母の方が知識がない」と分かっていますので「なぜ言うことを聞かないのか」「なぜこんなに歯向かってくるのか」と思うわけですが、母は素人なだけに私の方が知識があるという判断もできないのでしょうね(うちの母の場合は「親が子の下につくわけにはいかない!」というプライドのせいもある気がしますが)

 

このネタを書こうと思った最終的なキッカケは上記したような母とのやり取りでしたが、日頃頻繁に「なぜ大きく知識量や腕前が離れた上級者に、そんなに歯向かうの??」と思わされる出来事が起こります。ネット上で見かける事が多いですが、球屋においても仕事においても、そういう出来事は多いです。

 

「なぜ目の前にいる薬剤師の言うことより、ネットの書き込みを信じるの?」という話が一時期話題になっていました。それと似たような事例が非常に多い。プロの言うことを信じずニワカ知識で歯向かう人が少なくない。

 

プロと言っても意見は一枚岩ではないので「他のプロの意見も聞いてみます」と考えるなら正しいあり方ですけど、「私の意見の方が正しい!」「ネットのこの人は違う事言ってるぞ!」みたいな歯向かい方は意味が分からんですよね。

 

原因は色々とあると思いますが

 

  1. 相手の凄さを体感したことがない
  2. 相手の凄さを理解するだけの知識がない
  3. 性格の問題

 

この辺が大きいんじゃないかと思います。

 

1。上級者が身近にいて、頻繁に凄さを目の当たりにしていれば当該上級者のことは信用できる。けど、初めて会った相手となると、たとえ上級者だプロだっていう肩書があっても相手の凄さを見たことがない。「肩書だけじゃ信用できませんよ」ってことになるんじゃないですかね。

 

2。知識が無い人は、「自分よりも知識のある人」の中での差が分からない。素人からしたらB級とプロの差も分からない。耳障りが良いことを言っているB級の言うことを信用してしまうってのはありがち。

 

3。単純な性格の問題。意見が異なった時に「自分の方が間違っているに違いない」と思い込みがちな人もいるし、「自分が正しい。相手が間違っている」と思い込む人もいる。後者は性格が悪いだけの場合もあるし、騙されまいとしての防衛本能である場合もあるでしょう。



凄くお高いカスタムキューを使ってても、凄いキューであると伝わる相手は限られるじゃないですか。キューに詳しい人には「なんちゅうキュー使ってるんだ。すげぇ!!」って思ってもらえるけど、素人相手だと「高いんですか?へぇ」と言われたり、なんなら「プリントキューですか?」と言われたりする。値段を言えば驚かれはするけれど、「なんでこんな棒にそんな高い金を出すんだ?馬鹿か」って思われることもあるでしょう。価値観までは通じない。

 

薬剤師だ医者だってのも、同じ扱いなんだと思います。一部の一般人にとっては「なんか資格を持ってるらしいけど、その凄さを自分は見たことがないから知らないよ」という対象なんでしょう。何度も何度も顔を合わせて信用を勝ち得ない限りは下に見られる。

 

例を挙げたらキリがないくらい、世の中何でもそういうもんだと思います。見た目や資格や肩書だけで「凄さ」を理解できる人は限られる。大半の人は素人であり、凄さを実体験しない限りは下に見る。

 

(ほんと、例がいくらでも出せるので、たくさん出したくなるw)



上級者を下に見ているような素人を見ると「馬鹿だなぁ」と思うし、自分が疑われる側に立った時には嫌悪感を抱いたりもするわけですが、しかしながら私自身が「上級者の凄さを知らずに下に見てしまう馬鹿」に成り下がる場面も多々あります。

 

自分に知識が無いから、相手の凄さが理解できない。「なんか良くわからないことばかり言われる。さっきの人(実はただの初級者)の言うことの方がしっくりきたぞ?」なんてことがしょっちゅうある。

 

知識のある側は知識があるだけに「なんでこんなことも分からないんだ」「なんで知識がある相手を疑うんだ」と思うけれど、知識のない側からしたら相手の言っていることが正しいのか否か、誰が一番正しいことを言っているのか、そういった判別をつけようがない。知識がないから。仕方がないし、どうしようもない。

 

 自分が知識のない側だった場合。「知識をつける」が最良ですけども、世の中の全ての知識を勉強するってのは不可能。どうしても素人分野は出てきてしまう。なので、少なくとも「素人のくせして、上級者を下に見る」という愚行にだけは出ないように気をつけてます。極力。。。

 

難しいのは「自分はド素人である」「身の程を知り、謙虚であるべし」「相手の方が上なのだ」という意識が強すぎると、今度は知ったか初級者に騙されてしまうんですよね。バランスが難しい。ある程度は疑う心も必要。

 

自分が知識のある側だった場合。「なんでこっちの方が知識があるのに、歯向かわれるんだ」と思ってしまいますけど、それは仕方がないこととして諦めて、自分の知識で相手を何度も正しい方に導いてあげて「この人の言うことを聞いておくと良いことがある」と思ってもらえるだけの体験をさせることが必要ですね。口先だけ、肩書だけじゃ相手の心は動かせない。まずは自分の凄さを実際に見せて相手に理解してもらうところから始めないといかん。



まだつづく