鈴木さんちの球日記

撞球愚痴日記。2006年から書き続けているので、昔と今とでは持論が変わっていることが多いです。1プレイヤーの成長記として、生暖かい目で見守ってください。

スーパードライ

3本立て

 

1本目

 

数年ぶりに会ったNさん。前回会った時はBクラスだったのだけれどAクラスになっていたので「おめでとうございます」と言おうと思ったら、先に「鈴木さんのおかげでAになれました!!」と言われ、「へっ!?」と思った私。


Nさんに何かをした記憶がない。感謝されるいわれが無い。


でも、詳しく話を聞いてみたら「あー、なるほど」と思ったのでありました。


球歴が私より長く、「万年B級です」と自虐していたNさん。


数年前にお会いした時にはNさんを含めた何人かに引き球のアドバイスをしたんでした。言われて思い出した。


なにやら、そのアドバイスに従って撞いてたら程なく引きの切れが良くなったらしく。引きが切れるようになったら球撞きが楽しくなってモチベーションが上がり、それまでよりもたくさん球を撞くようになったらしい。


ようするに、Nさんが万年B級を卒業してAになれたのは、非常に単純に「今までよりも楽しく、たくさん球を撞いたから」だったわけです。


そのキッカケは引き球が切れるようになったことであり、引き球が切れるようになったのは私がアドバイスをしたから。


だいぶ遠いキッカケですけど、一応は私がキッカケを与えたということで良いのでしょうか!(笑)


この件から思ったことはといえば、やはり勝ち負けに直接的に関係しない部分であっても、たくさんのバリエーションのショットを撞けた方がビリヤードは楽しいよねってことです。


勝ちにこだわり抜いた球を撞き続けたあまりの燃え尽き症候群っていうプレイヤーが、私の周りにはどうにもこうにも多くてですね。


「とにかく勝ちを目指すべき」「勝てなくなったら球を辞める」と言っている人までいる始末。


末永く楽しむためには、勝ち負けを度外視してでも色んなショットを覚えて引き出しを増やした方が良いだろうし、その結果としてモチベーションが上がって腕前が上がるっていうNさんみたいな例もあるわけだし。


ま、あまりに勝ち負けを度外視したらしたで問題なので、結局は程度の問題ってことになるんですけど。

 

 

2本目

 


SAを目指している若手プレイヤーがいまして。


「そのまま伸びれば、いつかは本当にSAになれるだろうな」ってくらい上手。


私は2回くらいしか相撞きしたことがないですが、全く歯が立ちません。ボロ負けです。「上手いなー」と思っていつも見ています。世界チャンプも彼のことをべた褒めしていたし。


しかし、彼の球を頻繁に見ている人たちからの評判が芳しくない。曰く「入れているだけ」だとか。


「普通に上手いのになぁ?」って私は思っていました。つまらない球を撞くわけでもなく、ハードショットも普通に撞ける。ブレイクだって強い。


けど、最近少し「入れているだけ」と言われてしまうのが分かってきたような気がします。


言うなれば、試験に受かることだけを目的に勉強してきたような球と言いましょうか。


徹底的に過去問をさらい、傾向を掴み、過去に例が無いような問題が出たらそれは捨てる。そういう球。


ようは、頻出の球の精度は恐ろしく高いのだけれど、ちょっとでも使用頻度が下がる球は精度が低いし、そもそも知ってもいないっていう事が多いみたいだ。


なので、球聖位決定戦のようなフォーマットだと、長く撞いているうちに粗が出てしまうかもしれない。


しかし、トーナメント方式の試合だったら勢いで突破できる気がする。


ショットバリエーションは少ないけれども、突き詰めていけばあそこまで行けるんだよなぁと思わされる若手プレイヤーです。


その若手君にはもう1つ逸話があります。


プレイスタイル自体、必要性を突き詰めたようなドライな球なわけですが、ビリヤードへの接し方も今は物凄く熱いのだけれど、心の底はドライでした。


というのも「SAを目指すのは〇〇歳まで」と決めているらしい。その年齢までにSAになれるように今は誠心誠意努力しているし、なりたい。けどなれなくても、その年齢になったら今のような接し方は辞めるとな。

 


「だって、人生、いつまでもこんなこと(ただひたすらに熱く球を撞き続けること)やってられないでしょう?」

 


しっかり区切りをつけなきゃいけないとな。


大人というかドライというか。期限を決めているからこその輝きを今見せているってことなのかなぁ。


この若手君のセリフは、耳が痛いっていう人も多そうですね(;^ω^)

 

3本目


フルブレイクをしたら他の人達がどれくらいのスピードを出せるのかについて、私はフルブレイクの速度を知っている人が5~60人ほどだと思います。絶対数としてはそこそこの数ですが、プレイヤーの総数からしたらごく一部でしかありません。


それでも、なんとなーくのイメージはあります。世界トップクラスのハードブレイクがどれくらいで、A級プレイヤーの平均値はこれくらいで、自分の立ち位置はこれくらい、、、っていうイメージは出来る。


一方で分からないのが引き球の切れです。


言ったら、ブレイク以上に他人がMAXで撞いている場面なんて見る機会が少ないわけですよ。引き球って。


「この人は切れる」「この人は切れない」の二択であれば判断出来ますけど「切れる」人の中での程度問題は全然分からない。

 


とある日、引き球の練習をしていた時のこと。


「最近切れが悪かったのは撞点のせい」と気づきはしたけれど、原因に気づけたからってすぐに直るわけじゃございません。「しっかり勘を取り戻さなくては」と思いながら練習していたら

 

 

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こんくらいの引き球は楽々出来るくらいまでは戻ってきました。


その結果を見て思っていたことの1つが「引き球を撞く時とブレイクを撞く時で、撞き方が結構違うんだよな」ってこと。


しばしば書いておりますが、引き球の切れとブレイクの強さってある程度は相関関係にあるけれど、「ある程度まで」でしかないとも思っております。


「引き球が切れる」「引き球が切れない」と「ブレイクが強い」「ブレイクが弱い」というザックリとした2択での判断だったとしたなら、引きが切れる人はブレイクも強いと言えると思います。


しかし、その中での程度問題となったら。


以前にも書きましたが、キュー切れで名が売れているプロのブレイクはそこまで強くないとの某プロ談。


具体的に名が挙がってきたプロは2人とも恐ろしくキューが切れる。しかしブレイクは40km出るか出ないかというくらい。


「40km出るか出ないかなんて、充分に強いだろう!!」って思いたくなりますけど、引きの切れが尋常じゃないだけに、それに比べたら引きはそこまでブレイクは強くないという事になるらしい。


一方で、ブレイクの強さで有名なプロ達も、そのブレイクの強さの割りには引きが切れない。


これも当然、一般アマ目線で見たら充分すぎるほどに引きは切れるのだけれど、ブレイクの強さの割りには切れないということに。


尋常じゃないブレイクの強さと尋常じゃない引きの切れを兼ね備えたプレイヤーはいない。


10段階評価をした場合に、片方が10でもう片方が8っていう人はいる。けど両方が10っていう人はいない。


そういう意味で、某プロは「プレイとブレイクは別物である」と言っておられました。

 

だいーーーーーぶ話のレベルが下がりますが、私の場合。


10段階評価で5以下を「ブレイクが弱い」「引きが切れない」、6以上を「ブレイクが強い」「引きが切れる」と単純に二分した場合、私はブレイクも引きも6以上ではある自信があります。


ただブレイクは「6」であり、引きはもっと上である。引きの方が得意である。漠然とそういう思いがありました。


なので「私も引きとブレイクが同じじゃないよなー」といつも通りのことを考えていた時にふと「自分の引き球の立ち位置って、どこなんだろ?」と疑問に思いました。


冒頭で書いた通り、ブレイクはある程度他人の能力が分かっているし、自分のことは良く分かっているので「6」という能力値であると判断出来ます。


一方の引きは、他人がどれくらい切れるのか分からないし、そもそも自分自身のことでさえ良く分かりません。


ブレイクは「好きだから」という理由で意味もなくMAXに挑戦し続けてきた人生ですが、引き球に関しては特に好きなわけではないので(嫌いでもないですが)あんまり練習をしていない。必要な分しか練習してない。なので自分の能力値すら良く分からん。


ってことで、10段階評価をしようとした時にどの辺に位置するかが分からんのです。


「6以上ではある」という自信は変わりません。ただ「6であるブレイクよりは上である」という思いが正しいのかどうかが分からん。もしかしたら引きも6なのかもしれない。


漠然と「ブレイクよりは引きの方が得意である」と思っているのだけれど、この思いは正しいのだろうか?ってのが今回のボンヤリネタの1つ。

 

もう1つは「プレイとのブレイクの撞き分けをどうしたもんかなー」というボンヤリ。


プロの方々がどうなのか分かりませんが、私は引きを撞く時とブレイクを撞く時でだいぶ撞き方が違います。


プレイとブレイクで、それぞれに特化したフォームにし、他人が見ても分かるほどにまで全く違うフォーム&ストロークにしていたのは初級者の頃。


途中から「プレイとブレイクは出来る限り近づける」と決めたので、今はもう他人が見たら「どっちも一緒」っていうくらいには近い撞き方になっていると思います。ただ本人の中ではまだまだだいぶ違う撞き方という感覚。


というかそもそも、プレイに関してはフォーム&ストロークの大まかな方向性はだいぶ昔に決まっていて、後は細かい部分のシェイプアップをしてきているだけなんですが、ブレイクに関しては大まかな方向性すら決まっていなくて頻繁に改造しているもんだから、同じにしようがないとも言えます。


最近やっとブレイクに関しても「大筋においてはこれでいいかな」「これを突き詰めていけばいいかな」っていう大まかな方向性が決まったんですけど、それがまぁフォームは大体プレイと一緒だけれどストロークがだいぶ違うっていう。


えっと。「フォーム」と「ストローク」という用語のイメージが人によって違うと思うので一応補足しておくと「構えに入るまでの形はほぼ同じだけど、そこから先の腕の振り方が違う」っていう意味です。


ブレイクとプレイでストロークイメージがだいぶ違うもんですから、プレイを練習しているとブレイクが崩れ、ブレイクを練習しているとプレイが崩れてバランスが悪い。


「いっそのこと、プレイのストロークもブレイクと同じイメージにしてみようかなぁ」とかなんとか考えている今日この頃です。昔から同じようなことを言い続けてますけどねw

 

そこからさらに派生して考えました。


「ブレイクの撞き方で引き球を撞ければ、めっちゃ引けるだろうな」とは誰もが一度は考えたことがあるはず。


でも現実的には、ブレイクの撞き方で引きの撞点を撞くだなんて怖くてたまらないし、仮に撞点は良くても先球が吹っ飛ぶ可能性があるからやっぱり怖いしで、誰も突き詰めて練習してみたことは無いですよね?w

 

もしも、アーティスティックの分野で引き球選手権なんてのが出来て、優勝出来たら何百万円も賞金が出る!!ってなことになって誰もが引きの切れを鍛えるようになったら、「ブレイクの撞き方で引き球を撞けるようにする」っていう方向性になるのかなぁ?


もしそうなったら「引きが切れる人=ブレイクが強い人」という相関関係が出来上がるかな??