鈴木さんちの球日記

撞球愚痴日記。2006年から書き続けているので、昔と今とでは持論が変わっていることが多いです。1プレイヤーの成長記として、生暖かい目で見守ってください。

意識の置きどころ

 

私は右利きなので、文中で何度も出てくる「右手」というのは利き手のことです。サウスポーの方は左手と脳内変換してお読みくださいませ。


また「右手」とは、手首から先のことだけを指しています。

 

 

1本目


「肘から先だけを動かして、振り子のように腕を振る」っていうストロークのイメージ。皆様は持っていますか?やってみたことありますか?YESだとしたら、いつ頃そういうイメージを授けられましたか??


私は球歴の最初期から、師匠がいたわけでもレッスンを受けていたわけでもなく、誰かに頻繁に教わっていたわけでもなく、フォームやストロークについては完全に自己流でした。


「振り子のように」というストロークイメージがあると初めて知ったのは、ある程度自分なりのストロークが出来上がってからだった覚えがあります。


きっけー氏に聞いてみましたところ、きっけー氏は始めたばかりの頃に誰かから「振り子のように」と教わったそうな。なので最初はそうやっていたが、すぐに「おかしくね?」と気づいて上級者に質問して改良したらしい。


私も、もし球歴の最初の最初に「振り子のように」と習っていたら振り子イメージを基本としたストロークになっていたのかもしれませんが、私はそうではなかったし、そうじゃなくて良かったなと思います(;´∀`) 振り子イメージのストロークが基本になっていたら、恐らく私のプレイスタイルは全然違う物になっていたでしょうねぇ。


私は歴の中でストロークを何度も何度も改造しているので、その時期その時期で違うストロークをしていますが、大元にあるのはビリヤードを始めてすぐに憧れたブスタマンテ大先生のストロークなんだと思います。腕全体をクルクルと回すようなあれです。


なんせ初心者であった私が見た目を真似しようとしただけでしたから、大先生のストロークには似ても似つかないものになっていたと思いますが、1つだけ言えるのは「上腕を固定する」という概念が私には初心者の頃から無かったということです。

 

 

2本目


皆様が日常生活の中でペンを使ってものを書くですとか、箸を使って食事をするですとか、ボールを掴むですとか、本のページをめくるですとか、痒くなった顔を掻くですとか、何をするにしても意識を送るのは右手だけですよね。


少なくとも健常な成人でしたら、日常の動作の中で「肩をこう動かし、肘をこう畳んで、、、、」なんていう右手の動かし方の細かい手段を意識している人はいませんよね。


「ちょっとお醤油取ってー」と言われた時に、醤油さしに目を向け、そこへ向けて腕を伸ばすためにまずは肩を動かし始め、ここまで来たら肘を伸ばし、、、、なんて考えているわけがないですよねw


「右手をそこへ持っていく」という意識だけで事足りるはずです。


日常の動作にこれといった技術を必要としないのは「生まれてからずっと日常的にやってきた動作であり、慣れているから」でもあるし、これといった高い技術レベルが要求されていないからでもありましょう。


「文字を書く」というだけなら誰でも出来るわけですけど、もしそこで「綺麗な字を書く」だとか「筆で文字を書く」だとか「速記する」だとかが要求されるようになったら、途端に技術が必要になってきますよね。そうなりますとビリヤードと同じく、腕や手の使い方ってのを意識しなきゃいけなくなってくることでしょう。


テニスをやるとして、全くの初心者であり、かつ運動経験が全く無いような人であっても、とりあえずラケットにボールを当てるというだけなら、さほど時間をかけずに出来るようになるはず。


けども、スウィートスポットでボールをとらえるとなると途端に難易度が跳ね上がるし。


ボールを、狙った場所に打ち返すとなったら一気に難しくなる。全くの初心者がネットに引っ掻けず打ち返すとなったらちょっと時間を要するだろうし、「狙った場所」の範囲がどんどん狭まって、ピンポイントでボールを落とせるようなのはそれこそトップ選手の技術ですから、そこまで到達するにはとんでもない時間がかかるし(ってか普通は到達できない)


また「力強く打つ」とかも、すぐに出来るようになることではないし。


ビリヤードだって「ミスキューせずに手球を撞く」というだけなら、全くの初心者であっても教わりながら何時間か練習してりゃ出来るはずです。センスがある人なら即出来るでしょう。それこそ「醤油さしを取る」くらいの難易度ですから。


けどそこから難易度を上げていって、真っすぐ撞くだの、撞点を変えるだの、力加減を変えるだのなんだの色んな技術が要されるようになるから、どんどんと「右手の動かし方」の難易度が上がるわけでして。


そうなってくると「肩をどう動かすか」だとか「肘をどう動かすか」だとか、そういう点まで考える必要が出てくる。


でも、最終的にはやっぱり「右手をイメージ通りに動かすため」という所に行きつくんじゃないかなーと思っています。日常の動作と同じく「右手だけを意識していれば事足りる」という状態に持っていくことが理想なんじゃないでしょうか。


最終的な目的は「理想的なインパクトをする事」ですけども、その手前に「理想的な軌道をキューに描かせること」があって、そのキューを動かすために「理想的な右手の動かし方をする事」というのがあって、そのために肘やら肩やらをどう動かすかがあって。。。。


「良いインパクトをするんだ!」と意識しただけでは出来るわけがないし、「こんなキューの動かし方をするんだ!」と意識するだけで出来たら天才ですので、肩やら肘やらなんやらの動かし方まで掘り下げて掘り下げて考えるわけですけども、しかしその掘り下げた先の肩やら肘やらの動かし方が目的なわけではない。


目的を達するために手段は考えなきゃいけないが、手段は目的ではない。


常に目的を意識しつつ手段の探求も疎かにしない。意識は目的と手段の間を行ったり来たりする。


言ってしまえば当たり前の話なんですが、たまに忘れてしまいそうになることでもありますね(;´∀`)

 

余談ですが、日常生活の中でも「あの人、体の使い方下手だな」と感じることがあります。


私の日常で良く見かけるのが、狭いラーメン屋のカウンター席で見られる「狭いスペースで食べることができない人」であります。肘が思いっきりせり出していて、隣の人のスペースにまではみ出している人、良く見かけます。隣の人にブツかっている人も珍しくない。


あれは周りが見えていないという問題に加えて、恐らく肘を畳んでは箸を上手く動かせないんだろうなーと思います。体の使い方が分かっていない。


そういう日常的な所からも「この人は運動やらせたらセンスないだろうなー」とか感じ取ってますww

 

 

3本目


というわけで、私は右腕の使い方に関しては最終的に「右手をどう動かすか」に帰着させようとしています。


日常生活で実際に作業をするのは腕ではなく右手。ビリヤードだってキューを動かすのは右手。それ以外の部分は右手を動かすための手段であると。


そのように考えている私が時々出会って疑問に思っているのが「肘を落とすタイミング」について語っている人達です。「ストロークのどの段階で肘を落とせば良いのか分からない」「このタイミングだ」「いや、このタイミングだ」と語っている人達をたまにネット上で見かける。


なんせネット上のことなので、その人たちがどういうストロークをしてるのかが分からないんですけど、私が思うことはといえば「肘なんて落とすもんじゃなくて、勝手に落ちるけどなぁ」なのであります。


キューを短くしか出さない時は肘は落ちないし、長く出す時は勝手に落ちるし。それだけの話なのだけれど。


なんせ私は初心者の頃から一度も「肘を落とすタイミング」なんてのを意識したことが無いので、「どういうストロークをしていると、落とすタイミングを意識しなきゃいけなくなるんだろ?」と疑問に思うのであります。


そうして推測したのが1本目で書いたような「振り子イメージ」「上腕を固定するか否か」と「意識をどこに置くか」でありました。


肘を落とすということは上腕を動かすということですから、「上腕を固定する」というイメージで撞いてきた人にとっては違和感があるでしょう。まずそれが推測の1つ。


もう1つが意識の置きどころです。


私は基本的には右手に意識を置いています。右手の軌道をイメージして、そのイメージ通りに右手を動かしてストロークをしようとしています。そのための手段である肘や肩の動かし肩は普段は意識していません。勝手に動きます。


ただ、色々とストロークの調整をしている際に、意識を別の所に持っていくことがあります。体の使い方においての目的は「右手を上手く動かすこと」ですが、上手く動かせていないと感じた時に手段を再考するわけであります。「肘を上手く使えていないなー」っていう時は肘に意識を送り、「肩の使い方が下手だなー」と思ったら肩に意識を送ります。


肘を意識している(肘を畳むイメージでストロークをしている時)は「上腕が固定されるなー」と感じます。肘を伸ばす&畳むという動作で重点的にキューを動かそうとすると、自然と上腕が固定される。


そういうストロークをしておりますと、もし肘を落とそうとすると「肘を畳む→肘を落とす」という2つのイメージが必要になってくると気づきます。


肘を落とすことを意識しないと肘は落ちないし、落とそうとするからにはタイミングを考えなきゃいけないし、かつ、意識して落としたとしても「肘を畳む→肘を落とす」の切り替えをするにあたってカクッカクッとしたぎこちない動きになってしまう(;´∀`)


肘を落とすタイミングで悩んでいる方々は、こういうことなんじゃないかな?と推測しております。


むしろ、肘を畳むように強く撞こうとした時って、肘は落ちるよりも上がる方が自然なんじゃないですかねぇ。ま、ここら辺はケースバイケースですけど、、、


右手を動かすことに意識を置いておりますと、肘や肩なんてのは勝手に動きますから、意識なんてしないんですよね。2本目で書いたような、日常生活で一々肘や肩の動かし方なんて意識しないのと同じで。


肘を落とすタイミングで悩んでいる方は、まず「本当に落とす必要があるのかどうか」を考えるべきで、もし落とす必要があると結論が出たのならば、意識の置きどころを変えてみると良いんじゃないかな?と言ってみます。