鈴木さんちの球日記

撞球愚痴日記。2006年から書き続けているので、昔と今とでは持論が変わっていることが多いです。1プレイヤーの成長記として、生暖かい目で見守ってください。

入れてナンボ

歴史から学ぼうとしないのは愚かなことでありますが、とはいえ「今」が大事なのは言うまでもないことでありまして。


やたらと往年の名プレイヤーを推してくる人ってのがいますが、言い方が悪いですが過去の人なわけでね、、、


過去の人よりも、現役で活躍しているプレイヤーを推したくなるってのは、心理として間違ってはおりますまい。


とはいえ、この先何十年も経った頃には、私もその未来に活躍している選手ではなく今現在の選手を推している気がします(笑)


それは、自分の若かりし頃の古き良き思い出だからでしょうな。


先日(下書きしてから時間が経ったせいで、結構前の話になってしまいましたが)立教大学の野球部が59年ぶりに優勝したそうで、立教大出身の長嶋さんが立ち会ったそうなのですが、、、



からしても長嶋さんは「監督」のイメージしかありません。


現役大学生なんて私より1周り下なわけで、監督のイメージすらないことでしょう。


果たして現役学生たちに長嶋さんをリスペクトする気持ちはどれくらいあるのだろうか。そんなことを考えておりました。



野球関連の話といえば「清宮 潜在能力は松井秀喜氏匹敵?」なんていう見出しを見ましたけど、松井選手にしたって若い人からしたらもう「往年の名バッター」ですよね。ピンと来ないはず。




諸行無常




エフレン・レイズという選手がおります。


私が球を始めた頃にはもう全盛期は過ぎていたんじゃないかと思います。台湾プロが「リスペクトはするが、(今のレイズには)負けるイメージはない」と言っていたのを覚えております。


私が球を始めた頃の身近な上級者の一人であったベテランSA様がレイズ推しで、よくレイズの話をしていらっしゃった。


あまりに頻繁にレイズの話をするものだから、SA様がレイズの話をする時の口調をモノマネする人までいたくらい(笑)


なので「エフレン・レイズ」という名前は初心者の頃から知っていたわけですが、レイズの球を初めて見たのは2年くらい経ってからだった気がします。


初めて見た時はビデオで、以降、来日した際に生で見たこともあるしチャレンジしたこともあるのですが、さほど多くの回数はレイズの球を見たことが無いです。



ブログで、上手い人の代表例としてレイズの名前を挙げることは多々あるわけですが、それはレイズであれば誰も文句が言えないだろうと思っての事であって、私自身にはレイズをリスペクトする気持ちがそこまで強くあるわけではない。リスペクトするほどには、レイズのことを知らないのだ。


たぶん、私よりも歴が短い人達なんてのはもっとなんじゃないかな。


名前は良く聞くから上手い人なんだろうけど、球は良く知らない。そういう人、多いんでないかな?


今、最もリスペクトされているプレイヤーって誰なんだろう。



一時期、色んなプロの球を見漁ったことがありましたが、もうここ7年くらいはビリヤード動画を見ることが滅多にありません。


なので、「名前は知っている」程度の選手ばっかりで、最近の選手の球を見たことが1度も無いのです。




数か月前、とある人の繋がりで某県代表のトップアマの方と杯を交わす機会があったのですが、その方が私以上にプロのことを知らないみたいで驚きました。


影響を受けた選手、尊敬する選手ってのが全て普段顔を会わせる機会がある身近なトップアマやプロの方々で。



「レイズの球はジャパンオープンで当たった時にしか見たことが無い!」と言い切ってました(笑)



こういうことを書きますと「そんなんじゃ上限が決まってしまう」「そんなんじゃ上手くならない」みたいなことを言う人がいるわけですけど、県代表になるくらいの腕前になれれば私は充分だぞ。。。。





レイズ繋がりで話は変わります。


「入れか出しか」みたいな議論は良く耳にするわけですが、今の私はそんなのは論じるだけ無駄なことだと思っているので、論戦に参加する気はありません。


が、昔は気になっていました。そういう論議が好きだったというわけではなく、単に自分自身が球を撞くにあたって迷うことが多かった。



そんな時期に、3つほど(主に2つ)私のその後の指針を決定づける出来事がありました。



1つは、先輩が「このスト様やばい」と見せてくれた、ブイブイ言わせていた時期のスト様の球。


相手にセーフティーされようが、自爆出しミスで隠れようが、なんでも入れちゃう。


見えているが難球って程度はノータイムで入れちゃうし、ジャンプもキックショットもなんでもござれ。見えてなくても入れちゃう。


調子良い時のリュック・サルバスなんかもそうでしたけど、あんだけ入れるんだったらもう出さなくて良いじゃん!って思えるレベルです。


これに関しては、あまりにも次元が違い過ぎて、あんまり参考にはなってないんですけども。



私に影響を与えた主な2つの出来事が以下。


1つは生観戦していたプロツアーでの、土方Pの球。


土方Pが出しをミスしたんだったか、相手から回ってきた球なんだったか忘れましたが、こんな球を撞くことになった土方P






8番へはフリがありません。


「どうするんだろ?」と思いながら見ていたら、土方Pはしばし考え込んだ後、コロコロって転がして前に転がすだけの出しを選択。


ようは






こういう9番を撞いたわけでして。しっかり9番入れていました。


強烈なシュート力。「出せずとも入れられれば良い」と思わされた球。


この配置の場合、弾かせてクッションに当てて転がすだとか、キューを立てて捻って無理やり横に持って行くとか、トリックショットじみた出ししかないので、そんなリスクのある球を撞くよりは我慢して9番入れ勝負ってことなんでしょうけどもね。





私には、これを入れ勝負に行く勇気無いw


我慢して入れに行く勇気が無いから、運を天に任せて出しに行っちゃうっていう。


「入れに自信があるからこそ、自信を持って我慢できる球だ」「入れこそ正義」と思った出来事でした。




もう1つがケーブルテレビかなんかで見ていたレイズの球。


細かい配置は忘れましたが、8番を入れるのは簡単だけど、逆フリになっていて9番に綺麗に出すのが難しい配置でした。


「マジシャンは一体どうやって手球を出すんだろうか?」と注目して見ていたんですが、レイズはチョンっと撞いてコロコロって転がして






こんな感じに。全然出しに行ってませんでした。で難なく9番を入れて得点。


グルッと回して出したりするんだろうと思っていた私は拍子抜けしたわけですが、「そりゃぁ、レイズだったら(というかトッププロだったら)その辺に手球があれば難なく入れられるんだから、綺麗に出す必要も無いよなぁ」と納得もしました。


当時の私は上図のような9番を頻繁に外しており(今も「簡単!」とはとても言えません)「そこで充分」とはとても思えなかった。だからこそ「シュート力に差があるなぁ」とも。


土方Pの配置とは違って、レイズの配置の場合、出そうと思えば出せたと思うんですよ。もっと簡単な位置まで。特別な高いリスクを負うことも無く。


それでも出しに行かないのは、出す必要がないからなんだろう。


同じ試合の中で、駄目押しがありました。


こんな感じの配置になりまして





真っすぐ気味ではありますが逆フリではなく、8番とポケットも近いことですし、私でしたら押して1クッション入れて9番に近づけに行きます。その選択で迷うこと無いです。


ところがレイズ先生ったら






渾身のストップショット






で、難なく9番入れて、確かそれがその試合のゲームボールだったような。




この人、ちっとも出しに行かん。




ってのは冗談として、私からしたら「我慢出し」な位置が、レイズにとってはシュート率がなんら変わらない位置であり、我慢ではない。立派な出し。取り切り率がなんら変わらないから出しに行かないんだな、と。



私は、9番が定位置にある場合、手球がテーブルのどこにあっても入れられるようにすることがA級になるために必須な能力の1つだと思っています。


特に、テーブルの真ん中付近だったら外してはいけない球で「テーブル真ん中辺にあれば充分!」って思えるようにならなきゃいけないと思っています。


が、あくまでも「充分」であって、ベストじゃない。出せるんだったら、もっと近づけたいし厚めにしたい。9番をシュートミスする確率を少しでも減らしたい。



けど、レイズにとってはテーブルの真ん中付近ってのは、それ以上に出す必要が無いゾーンなんだなと。


これをイケイケなイレイチスタイルの選手がやってたらまた違った感想を抱いたと思うんですが、なんせレイズです。


レイズがそんなポジションプレイをするもんだから、「世の中入れてナンボだわ」「入れを鍛えよう」と強く思いましたとさ。ちゃんちゃん。