2本立て
1本目
この間もらい捻りの話をした時に書き忘れたというか、あまりに長くなりすぎたので割愛したというかなんですけど、もらい捻りについてもう1つ逸話があります。
手球を先球に厚めに当てた時、手球を左に捻って当てたら先球には右捻りの回転が、手球を右に捻って当てたら先球には左捻りの回転が若干入ることになります。歯車のような形ですね。
その現象に関しても「もらい捻り」って言います?言わない?
私はですね。その手球の捻り回転が先球に与える回転に関しては、歴のだいぶ早めの段階で知っていました。
何かの教則本で読んだ覚えがあるし、上級者とその件に関して談義もしたし、ハイスピードカメラを使って「どれくらい影響があるのか」をチェックすらした。そしてブログネタにもしました。
にもかかわらず最近まで、正当な意味合いでのもらい捻りは知らなかったっていうチグハグっぷり。自己流のビリヤードプレイヤーっぽい話ですね。
んで、たぶん長らく、手球の捻り回転から先球が受ける影響のことを「もらい捻り」と言うのだと勘違いをしていて、他の人がもらい捻りの話をしているのを小耳に挟んでも、捻り回転からの影響の話をしているもんだと思い込んでいたんじゃないかな。
その思い込みのせいで、2年前まで気づけなかったのではないかと推測します。
全くの未知の単語が出てきたら「何の話だろう?」と気にするけれど、勘違いして覚えてしまっている単語、推測して分かった気になってしまっている単語はスルーしちゃうっていう好例ですねぇ。
その「手球が横回転をしていると、先球も若干横回転をもらう」という現象でありますが、最も意識するのはバンクショットをする時です。
昔Nプロが少し長めのバンクショットをしなきゃいけない時に長くなりすぎてシュートミスして「薄め、弱め、捻りって、全部やったらそりゃ長くなるわ!!」って自虐していたのが面白かったですww
伸ばしたい時は厚みを薄く狙うのは当たり前として、弱く撞いたり、伸ばしたい方向とは逆の捻りを手球に加えると伸びる。どれか1つを選択すれば良いのに、自信がないあまり全部やっちゃって長くなりすぎるってのは私もやらかしがちなんですが、プロでもやるんだなと安心しましたw
さてさて。先日こんなツイートをしました。
こういう2番を、7と3の間を通してサイドバンクしたいという欲に私は負けてしまうのだけれども、ダメなんだろうか。
— 鈴木さんちの鈴木 球版 (@billiblo) 2019年2月6日
ちなみに、この写真を撮った時は入った。 pic.twitter.com/bsxYw2drrV
これ、コメント欄で書いてるんですけど、この写真の向きからだと「あるの?」って思えますけど、2番の方からポケットの方を覗き見ると「物理的にはある」って思える配置です。そっちからの写真は撮り忘れた。
物理的にはあるので、あとは技術的になんとかしなきゃいけませんw
んで、この配置について考えていた時に「そういや、こういうバンクの撞き方がイメージ無いって言われたことがあったなー」と思い出しました。
このツイートした配置の2番、極端に作図してますが、こんな軌道で入れました。
この青線のような軌道。
バンクシステム通りに走らせると黄色線のようになるわけですけども、黄色線のような軌道だと7番ボールに当たってしまうので、青線のような軌道で。
この軌道を可能にさせるのが「手球が横回転をしていると、先球も若干横回転をもらう」という現象なわけです。「先球にも捻りを与えられる」という発想ですね。
私は結構よく使うんです。バンクを撞く際に左右に捻って伸ばしたり縮めたりして先球の軌道を変えるっていうショット。
何か月か前に出しの関係上、手球をストップさせたくて、となれば厚く当てなくてはいけない。しかし厚めだと先球が入らないっていうバンクショットをする際に捻りを加えて入れに行ったら、私よりも上手いA級プレイヤーに「へぇ」「そんな発想なかった」って言われまして「お?そんなもんなのか」「自分は普通に使うんだけどな」って思ったのでした。
作図するのが面倒だったので文字だけで説明しようとしたんですけど、やっぱり作図しました。文字だけでの説明は98%の人が「スルーする」または「曲解する」のどっちかだとよーーく知ってる!!w
下手に具体的過ぎる配置を挙げても、それもまた曲解されがちなので、ザックリと。
こんな感じの7番を下のサイドポケットにバンクで入れるとして、入れた後に手球をほとんど動かしたくない。ほぼストップさせたいっていう局面だとして。
システム通りの厚みに当てたらどうやっても手球は左の方に行ってしまいますから、手球を左に捻って厚めに当てる。そうすると7番には右捻りの回転がちょっとだけかかるので、厚めに当ててもクッションから右の方に出て行ってくれて、バンクショットが成功するわけであります。
使いませんかね??頻出ってほどではないですが、使えると便利な場面がちょぃちょぃあいりますよ。
で、「手球が横回転をしていると、先球も若干横回転をもらう」という現象でありますが、ロバートバーンの著書だったっけかな?なにかのビリヤード本に、やたらと具体的な数値が出ていたんです。2%だったっけかな?
何もかもがうろ覚えですが仮に2%だとして「先球は手球の横回転の2%分をもらう」といった記述がありまして。
やたらと具体的な数値が出てるもんだから「ほんまかいな」っていう話になって。
プロも「もうちょっともらっている感覚があるけどなぁ」とのことで、一緒になってハイスピードカメラで撮影して検証してみたりして。
結果「分からん!」でしたww
安物のハイスピードカメラで分かるような事ではなかった。回転数なんて良く分かりませんしね。それに、ワックスの有無とか、ボールの汚れ具合でもだいぶ差が出るでしょうしねー。
私もプロと同じく、感覚的にはもうちょぃ影響がある気がするんですけど。
「捻ってバンクを撞くと先球の軌道は結構変わるぞ」っていう私の感覚ですが、やはり視認は出来ていません。先球に手球の回転が乗り、先球が横回転をし、その影響でクッションからの出方が変わるっていうのを視認出来ているわけではない。
「捻ると先球の軌道が変わる」という知識があって、その知識を使ってバンクを撞いているという意識があるから、成功した時には「イメージ通りに行った」と思っているのだけれど、実際には全く別の現象が起きているのかもしれない。単に厚みや力加減の問題だったりもするのかもしれない。
そこんとこは良く分かりません。悪しからず。
そういやB.D.さんを読んでて思い出しましたけど、9ボールのブレイクで「(左サイドからブレイクする場合)左に捻ると1番ボールが良く走る」ってのも、手球の捻りが先球に捻りを与えるっていう話ですよね。
捻りブレイクという概念が無い人の中には「あの人のブレイク、強くなさそうなのによく割れてるんだよなぁ」「きっとブレイクが重いんだ!」とかいうオカルトを唱えてる人がいますが、あれは捻ってるだけやで。
全くの余談ですが、この間とある展覧会に行ったら最初期のハイスピードカメラが展示されてましてね。その横に、最新鋭のハイスピードカメラは1秒間に1000万枚の写真が撮れるという説明がありました、、、
1000万/s !?
どんな世界なんでしょうね、それ。
そんなカメラで撮れたら、ビリヤードの謎になっている部分も色々検証できそうですね。
いや、1000万コマも必要ないなww
2本目
カーリートーナメントに出た時の私、全般的にアベレージ以上の球が撞けていたのですが、それに加えて「上手い人みたい」と自分で思うような球を撞く場面が何度かありました。
たとえばこんな配置。
相手がスクラッチをするも先球の3番が7番とトラブルになり、直接の入れは無し。さてどうするかという場面。
相手の方は残しが渋いと感じたのでしょう。「すみません」と謝られました。
しかし私はなんら気にしていなかったし「さてどうするか」とすら思っておらず、ノータイムで撞きに行こうとしました。
そしたら、横で見ていたカーリーさんがジャッジに出てきた。おまけに、運営の元プロまで出てきた。途端に緊張する私w
私「3番オープン、、、ですよね?」
赤P「オープンですね。これどうするんですか?セーフティー?」
私「いや、入れに行きます」
で、発想ある方は分かったでしょうけど、球コです。球クッション(分からない方は、お近くの上級者に聞いてみてくださいな)
赤P&元プロ「おー」「知ってる」
私はサクッと撞いて、ミスしたらミスしたらそれでいい(この配置で球コをミスしたら渋く残るだろうし)くらいの気持ちだったので、よもやあんな一大イベントになるとは思わずw
入ってよかった良かった。
後は、全試合通して空クッションがやたらと上手かったもんだから「なぜ今日はこんなに空コが上手かったんだろうか」「システムなんぞ全く知らず、勘でばかり撞いているもんだから、良い日と悪い日の差が激しいんだよなぁ」とか試合後はずっと考えていました。
翌日GB先生と撞いた時も、続・空クッションがやたらと上手い。
ひっかけからのキックショットで入れて出しも決めるっていう場面が何度かありました。
特に記憶に残ってるのが以下の3ショット。
まず記憶にあるのは対赤狩山P戦での3得点目に繋がったショット。
カーリーさんのセーフティーでこうなって
ノーで撞くと手球が角に入ってしまうような位置だったので、少し左を捻って空クッション。
発想としては単純ですが、発想出来るかと成功させられるかは全く別次元の話じゃないですか。この時はちゃんと入れられた。
入れた後に8番に繋げるかってところも肝心ですが、ちゃんと8番も入れられました。
記憶にある配置2つ目。何マス目か忘れましたが、これもまた対赤狩山P戦。試合後にキッケー氏からお褒めの言葉をいただいたセーフティーでもある。
若干カーブをさせながらの、裏からのセーフティー。
これ、私は若干「当たり損ないからのフロックだと思われてないかなー」と心配してました。いや、過去形じゃなくて、今も心配してますw
2番に直接当てに行くつもりが薄すぎて当たらず、意図せず裏から当たってしまうっていうこと、よくあるじゃないですか。
けど、今回はフロックではなく狙い通りのセーフティーでした。けど、あまりに綺麗に決まったもんだからフロックだと思われていないかが心配です。
まぁ「狙い通りではあるけれど、もう一回やれと言われたら難しいようなショットが決まるのはほぼほぼフロック」と私は度々申しておりますので、今回のこれもフロックみたいなもんですけどね、、、狙い通りではあったのだ!
記憶にある3つ目。これは対GB先生戦ですが
こう。これもまた「もう1回やれって言われても無理」っていうショット。
どれもこれも狙い通りではある。全くのフロックではない。ただ、一か八かのショットではあり、成功させられたのはほぼほぼフロック。けど、ほぼほぼフロックなショットを連続で成功させるもんだから、フロックとも言い切れない。
なので「結論。この2日間は運が良かった」ってことにww
フロックが連続で決まっちゃうくらい運が良かったという事にしました。コンディションが自分好みだったってのも関係していると思います。
でも「しっかりと決まる」ところまで持っていけたのは運ですが、「発想をして、惜しいところまで持っていく」のは実力。
知識や腕前がなければ「惜しい」にすらなりませんからね。
普段だったら「惜しい」にすらならなかった気がする。ではなぜ今回は上手く撞けたのか。ボーっと考えていました。
まず推測出来たのは、単純な話「厚み、撞点、力加減が良かった」です。
なんだかんだ、撞いた瞬間に「ミスったー!」って分かってしまう空クッションのミスをすること、多いじゃないですか。
結果を見るまでもなく「厚みがズレた」「撞点をミスした」「力加減が合わなかった」ってのが分かるようなミス。
特に厚みなんかは、先球の入れを狙っている時の厚みの見方とは差がありますから、しっくり来ない時は来ない。
今回は狙った所に狙ったように撞けたってのが、成功の理由として大きい。
というわけで「イメージ通りに撞けた」という単純な理由が大きいわけですが、しかし空クッションの場合はそもそも「イメージ」をするのが難しい。「イメージ通りには撞けたのだがドソッポだった」ってのも空クッションだとありがちですよね。
今回は「イメージが正しかった」し「イメージ通りに撞けた」わけです。両方が良かった。
じゃぁなんで今回はイメージが良かったのかと言えば、、、、それが本当に謎なのです。
フィーリング頼りのプレイヤーは、その日どう転ぶか全く分かりません。
駄目な日はとことん駄目だし、良い日はずっと良い。
良い日は今回ネタにしたようなフロックみたいな空クッションを連続で成功させるから結構説得力が出るらしく「鈴木さん、そんなに上手かったでしたっけ?」とか言われたりもするのだが、その日だけっていう、、、