鈴木さんちの球日記

撞球愚痴日記。2006年から書き続けているので、昔と今とでは持論が変わっていることが多いです。1プレイヤーの成長記として、生暖かい目で見守ってください。

良いと合うと慣れと

2本立て

 

 

1本目

 

2年ほど前から突如猛烈にビリヤードへのやる気を出し始めたI氏。


「何故突如やる気を出したのか」とブログで度々ネタにしておりますが、なんとなーく「これが理由なんじゃないかな」と思い当たる節があります。そして、もしその推測が本当だとしたら本人にはちょっと確認しづらいことなだけに、尋ねてみていません(;´∀`)


そのI氏、公式戦に出まくっているし、暇を見つけては練習をしているし、加えて道具へのこだわりも見せるようになってきました。


以前のような安物ではなくちゃんとしたキューを今は買いそろえているし、イグナイトシャフトにも興味を示しているし。「お金が溜まったらこれを買いたい」というカスタムキューもある様子。加えて、まだ買ってもいないそのカスタムキューにどんな革を巻こうかという妄想までしているw

 

そしてタップ。毎回違うタップを試してみているらしい。この間も某ビリヤードショップが10%OFFセールをやっていたから、気になるタップを色々と購入したとか。


タップとシャフトの相性の話も振られました。


「なんで、そんなにタップを変えまくってるの?」と聞いてみました。


「自分に合うタップを探している」と答えるI氏。


私も過去には「自分に合うタップを探すため」という理由で色んなタップを使っていました。毎回違うタップを試してみていました。


しかし、毎回違うタップを使うことに関しての「自分に合うタップを探すため」という理由。建前なんじゃないかという気持ちもありました。


色んな物に手を出したくなるというのは私の性格。単にその性格に従ってあれやこれや手を出しているだけで「自分に合うタップ探し」なんてのは建前なんじゃないかと。


しかしある時、自分に合うタップを見つけました。トラッドEX-Mタップです。


「何がどう合うのか」「具体的にはどういった点が好みなのか」と聞かれても結構困るんですけど、とりあえず「自分に合う」「このタップでは、タップで言い訳をしようと思う気持ちが全く湧いてこない」というタップに出会えたわけです。


「『自分に合うタップ探しのために、毎回違うタップを探している』というのも建前じゃなかったんだな」と他人事のように思いましたw


そんな今でも、相変わらず色んなタップを使っている私。今はもう存分に「単に色んなタップを使ってみたいっていうだけでーす!」と堂々と言えます(笑) なんせもう自分に合うタップが見つかっていますからね。


使ったことのないタップを使ってもしハズレだったとしても、いざとなればトラッドEX-Mに戻せば良いだけっていう安心感が、なおさら私に色んなタップを使わせようとする!


と言っても、昨年は公式戦に出るにあたって「遊んでる場合じゃねぇ!」と思ってトラッドEX-Mを使い続け、以降も公式戦の影響で結果に対する意識が強いので、当面はトラッドを使い続けるかなーと思います。未来の事は分かりませんw


さて。I氏はシャフトも色々と試そうとしています。


シャフトに関してもタップと全く同じく「自分に合うシャフトを探している」と言うI氏。


私はシャフトに関しては「色々試してみて、自分に合うシャフトを見つける!」はやったことがありません。


「やってみたい」と思ったこともない。恐らく金銭面での制約により、無意識に自制心が働いているんじゃないかと思います。


タップはなんせ安いものなら何百円か。最近は高価格化してきたとはいえ、それでも2000円ちょぃです。それに比べてシャフトは万単位でございます。


自分が富豪であったのなら、シャフトでもタップと同じく「自分に合うシャフトを探す」をやっていたかもしれません。けど現実はそうではない。


私がトラッドに行きつくまでどれくらいの種類を使ったでしょうか。記録しておけば良かったなと若干後悔しておりますが、恐らく30種類ほどは使ったんじゃないかと思います。


もしシャフトで同じことをやったら。一体どんだけの出費になるのでしょうか。無理無理。


じゃぁ自分に合うシャフト探しをしようとしているI氏が富豪なのかと言えば、全くそうではありません。


だからこそ「庶民は『自分に合う道具を探す』よりも『道具に自分を合わせる』のも大事だよ」というアドバイスをしました。身を滅ぼさないように気を付けないと。。。


さて。将来買おうとしているカスタムキューへの革巻きに関して妄想をするI氏に「革巻きをしてくれる、おすすめのお店ありますか?」と聞かれたので答えました。


んで、I氏ったら「とりあえずお店に行って、革を見せてもらって決めよう」とか言うもんだから「いやいやいや」と。


「革巻きなら何でもいい」っていう人もいるのかもしれませんが、大抵の人は「これを巻きたい」っていうビジョンがあって、お店にその革があるかを確認し、なければ仕入れてもらったり自分で用意したりするなど、万端の準備をして巻いてもらいますよね。


当日その場で決めるってのはどうなの?革巻きだって頻繁にやるもんじゃないし、安いもんでもないんだから。


また、I氏。「(手触りなどは)店で触らせてもらう」とか言うもんだから、「たぶん触らせてくれないぞ」「売り物なんだから。。。」と私。


ちょっと触るくらいなら大丈夫でしょうけど、ベタベタ触るわけにはいかないでしょうし、そもそも巻いてない状態の革を触っても、巻いた後のイメージはしづらいですしねぇ。


私「とりあえず、色んな革のを撞かせて貰ったら?」

I氏「試し撞きさせてもらえるんですか?」

私「いやいや、工房でっていう話じゃなくて、球屋で色んな人のキューを借りて撞かせてもらう」

 

って会話をして、直後にハッとしました。


「I氏、友達いないわ」

 

気になる革、気になるシャフト、気になるキュー、気になるニューアイテム。


使っている人を見つけたら「ちょっと撞かせてもらえませんか?」などと言って借りて撞いてみる。


ビリヤードにおいての試し撞きって、基本的にそういうパターンですよね。


試し撞きさせてくれるショップなんて僅かだし、そもそもショップ自体が少ないし(東京で「少ない」ですから、他の地方じゃ「無い」ですよね)「試し撞き会」なんていうイベントが行われることもない。


お金持ちだったら「とりあえず買って使ってみる」を出来るでしょうが、庶民は誰かが使っているのを借りてみるってのが一般的でしょう。

 

しかし、I氏の場合は常に自遊空間で1人練習をしているプレイヤーです。借りて撞いてみようにも、借りられる相手がいません。


こういう点でもシングルプレイヤーは不利だよなぁと思った次第でありました。


また、プレイヤー人口が少ない地域の方々も似たようなものでしょう。「人から借りて撞く」ってことがそうそう出来ないでしょう。どうしてるんでしょうか?

 


都心はねぇ。ありとあらゆる道具を使っている人がいますから、借りようと思えばいつでも借りられるってところで恵まれてるよなー。


まぁ、私は道具に興味が無さ過ぎて、その恵まれた環境を全く活かしてないですけど(笑)

 

 

2本目


シャフトの太さ細さですとかは、良いも悪いもあったもんじゃなくて、好き嫌いとか合う合わないとかの話だと思います。


トビの小ささですとかパワーですとかは、トビが小さければ小さいほど、パワーがあればあるほど道具の性能としては「良い」ということになるのでしょう。ただ、万人がその性能の良さを好むかといえばそうではなく、合わない、好きじゃないっていう声も当然出るわけですよね。


以前から度々話に出していることでありますが、某台湾プロがあまり良い戦績が出せなかった時に言い訳のように「キューを変えてまだ〇ヵ月なので慣れていない」というようなことを言っておりました。


何か月でしたっけ。3か月くらいだった気もするし、半年だったような気もする。以前は覚えてたから具体的な期間を書いていたんですが、忘れちゃった。なんにせよ、そこそこ長い期間でした。


その台湾プロの言葉を聞いて「あのレベルの人でそうなのだから『キューに慣れていない』っていう言い訳は私なんかは存分に使えるな!」と思ったとか思わなかったとか、そういう話はおいといて。


一番思ったのは「慣れるのにそんなに期間を要するのに、なんで道具を変えたの?」ってことでした。


その台湾プロに関しては、そのインタビュー記事をたまたま見かけたっていうだけで、背景を全く知りません。元々なんのキューを使っていたのか知らないし、何に変えたのかも知らないし、何故変えたのかも知らない。


ただ、身近なプレイヤーでも、道具を変えて「合わない」「慣れない」と言っている人は良くいて「じゃぁ、なんで変えたの?」「今までの道具を使い続けていれば良かったんじゃないの?」と思うことが多々あるわけです。


勘違いしてほしくないのは、けっしてそういう行動を否定しているとか馬鹿にしているとかじゃありません。単にブロガーとして「何故」が知りたいというだけです。私も道具を変えて「慣れない」と感じて苦労したことがありますから。


私がプレイ用のシャフトを変えたのは歴の中で3回です(多いってことはないだろうけど、少ない?普通?)

 


・ノーマルを使用していたC級時代、プロから「将来的にハイテクを使う気持ちがあるなら、早めに使い始めて慣れておいた方が良い」と言われて従った。

 

・使っていたシャフトに曲がりが出始め、ちょうどそのタイミングでシャフトを格安で譲ってくれるという話をいただいた

 

・試し撞きさせてもらったら打感が好みで、惚れ込んで買った

 

 


この3回です。で、新しいシャフトに慣れるのに苦労した記憶があるのは3回目だけ。314-2から今のOBクラシックプロシャフトに変えた時です。


1回目の時はC級だったからなんも差が分からなくても仕方がないと思うのですが、2回目の時はAになっていたはずなので、少しくらい差に気づけって話なんですが、対応に苦労した記憶がないんですよね。鈍感っぷりを見せたのか、実際に大して差が無かったのか、実は苦労していたのだけれど記憶から消え去っているだけか。


何はともあれ、3回目、今のOBクラシックプロに変えた時は結構苦労しました。自分の中で第2次ビリヤードブームが来ていた時期なので、かなり撞きこんでいた時期だったはずです。それでも慣れるのにかなり長い期間を要した覚えがある。


なんせ、購入のキッカケが「打感が好きだったから」の一点買いです。パワーやら見越しやらは全く考慮せずに買ったわけですから、対応に苦労してもおかしな話ではありません。


道具を変えた3回。1回目は「プロに言われてノーマルからハイテクに変えた」なので、それなりに結果を意識した変更と言えるかもしれません。


けど、2回目は「曲がりが出たから」だし、3回目は「打感が好みだった」だし、全く結果を意識したものではなかったわけであります。


打感が好みだったということだけでシャフトを変えて、何か月も対応に苦労しながら球を撞く。「馬鹿馬鹿しい」「だったら変えなければ良かったのに」と言われても仕方がないと思うのですが、「だって、打感が良くて撞いていて気持ちがいいんだもーん」としか言えません(笑)


他の皆様にしても私と同じように、結果とは全く関係してこない好みに従って新調しただとか、モチベーションアップのために変えてみただとか、新しい製品が気になって変えてみただとか、そういう理由で変えた挙句に対応に苦労してしまうってことはあると思います。


むしろ「結果を向上させるために道具を変えた」って人は、どれくらいいるんだろう?


そして、その変更は功を奏しましたか?ただ単に「道具を変えれば、煮え切らない自分の球撞きも良くなるかもしれない!」っていう血迷い行動で終わったりしませんでしたか?

 

「絶対的な性能の良さ(パワーがあるとか、トビが小さいとか)」「自分に合う」「慣れ」の3つって、どういうバランスなんだろうなーとこの間考えていました。


再び私のOBクラシックプロ話を例に出しますが、314-2からOBクラシックプロに変えたばかりの頃は、「自分に合う」と感じていたのは打感だけです。撞いた時の感触だけの話ですからもちろん「結果に繋がる『合う』」ではなく、単に「自分の好みに合う」というだけ。


シャフトの細さやテーパー、重さやバランスなどに関しては314-2と比較して特に良いとも悪いとも思いませんでした。言うなれば314-2もOBクラシックプロも両者共に「自分に合っていた」んだと思います。


OBクラシックプロに変えて良くなったのは「打感が好き!」ってことで、悪くなったのは「見越しが全く合わん!」ってことでした。


変えた直後は、球の結果は314-2を使っていた時よりも悪くなりました。


そこで「自分には合わないから、314-2に戻そう」という選択も出来たのでしょうが、せっかく買ったシャフトだし打感は好みだし、結果を求められる球撞きなんてJPAの時くらいしかしていなかったしで、OBクラシックプロを使い続けました。


何か月くらいだったか具体的な期間は忘れてしまいましたが、しばらく使っているうちに「慣れた」「シャフトで言い訳をしようと思うことはない」という状態になりました。


さて。この私の例の場合、OBクラシックプロに変えた直後の見越しの合わなさは「自分に合わない」という話なのでしょうか?


単に「不慣れ」というだけな気がします。


そして、しばらく使っているうちにOBクラシックプロシャフトで見越しが合うようになりました。これは「自分に合った」んでしょうか。いや、「慣れた」というだけなんじゃないでしょうか。


そう考えると「合う合わない」ってなんなんだ?と疑問に。


変えられない部分。たとえば「指が短い(または太い)ためにブリッジの穴が小さくしか作れないので、細いシャフトの方が合う」とか「背が低いので短いキューが良い」「背が高いので長い方が良い。エクステンダーをつけている」とか、「手が小さいのでグリップの細いキューが良い」とか、そういうのは自分の体は変えられませんから「合う合わない」があると思うんです。


しかし、見越しだとかパワーだとかは、感覚的な部分は変えられる。いきなりは「合わない」であっても、しばらく使っていれば「合ってきた」に出来る。


それは「合う合わない」なのか?単なる「慣れ不慣れ」でしかないですよね?


今すぐには合わないけれど、将来的には合わせられるようなものは「不慣れ」じゃないの?「合わない」なの?


「これまでの自分の撞き方を一切変えることなく、ベストなパフォーマンスを発揮できる」というのが「自分に合う道具」?


となると、314-2からOBクラシックプロシャフトに変えた直後の私にとって、OBクラシックプロシャフトは「合わない道具」だったってこと?


合う合わないと慣れ不慣れの関係性が良く分からんなーと思いましたとさ。


もう1つ疑問があります。


314-2に比べてOBクラシックプロシャフトはトビが小さいです。


その差によって変えた直後は見越しを合わせるのに苦労したわけですが、OBに慣れた今となってはOBにして撞きやすくなった球がたくさんあると感じています。「314-2の方が撞きやすかった」と感じる球は一球もありません(どっちでも一緒っていう球が圧倒的多数ですけどね)


慣れるまでに多少時間を要して苦労はしたけれど、使い続けて良かったと思ったわけです。314-2を使っていた頃よりも結果が出しやすくなった。

 

某SA様はノーマルシャフトを使っていらっしゃるのですが、その理由は「ずっとノーマルシャフトを使ってきたから、ノーマルに慣れている」ためだと言います。


そんなSA様が何かしらハイテクシャフトを使ったとしましょう。変えた当日は良い球が撞けないと思います。その原因は「不慣れだから」でありましょう。


一時期ハイテクシャフトを使っている姿も見かけましたが、すぐにノーマルに戻っていました。やっぱりそっちの方が感覚が合うらしい。


しかしまぁ、本当に「すぐ」でした。2~3週間でしょうか。


詳しい歴は存じ上げませんが、恐らくは20年以上ノーマルで撞き続けてきた人が、数週間でハイテクの感覚に慣れられるはずはありません。


何か月か。もしかしたら年単位になるかもしれません。


けど、その間は「今までのような球が撞けない」になるでしょうが、慣れた暁には今まで以上の結果が出せるようになるのでは?という気もするのですね。


長いことノーマルを使っていたとあるプロは、ハイテクに変えて対応練習に躍起になっておりました。ノーマルに戻る気はないらしい。


道具を変えるか否か。そこの判断はどうしているんだろうか。


SA様とプロの判断の差(一般論としてのSAとプロではなく、私が知っている特定のSAとプロの話です)は「合う合わないの差」なのか「趣向や持論の差」なのか「日頃練習に費やせる時間の差」なのか。


慣れるまでのしばらくの間、今までのような球が撞けなくなるのは間違いない。

 


1.慣れた後、今まで以上の球が撞けるようになる

2.慣れた後も、今までと大差ない

3.慣れたけれど、今までの方が良かった

 

 

1番だったら「しばらく苦労することになっても、道具を変える意味がある」じゃないですか。


けど、2番3番だったら、慣れるまでの苦労が単なる無駄になりますよね。


フォームやストロークの改造と同じような話です。一体どれくらいの期間、どれくらいの段階で「使い続けるか否か」を判断するんでしょうか。


「1週間我慢したら、結果が出せるようになった」だったら、誰だって我慢できると思います。けどそれが何か月、何年となったら。。。

 

「合う合わないって、具体的に言うとどういう事?」


「新しい道具を使うことによってより良い結果が出せるようになるか否かの判断って、どれくらいの期間でするの?」

 

長々と書いてまいりましたが、今回の疑問はこの2点ですね。